「落語の駅がいまやパワースポット」
「ほけ・ほき」とは断崖を意味する古い言葉である。大歩危峡のある徳島県三好市は平成の合併により四国最大の市町村として生まれた。最大といっても人口や産業ではなく面積の話である。その三好市の南端、高知県との境の駅である大歩危駅は秘境祖谷渓へのターミナルとして、また隣の小歩危駅(こぼけえき)や高知方面の「後免駅(ごめんえき)」とともに落語のネタとして全国的にも有名な駅である。
無人駅であるにも関わらず配置されている駅長は妖怪駅長。三好市の山城町は四国の奥深い山中であり、「遠野物語」で有名な、日本民俗学のパイオニアである柳田國男が「ごぎゃ泣き」という妖怪伝承を発掘した土地である。この「ごぎゃ泣き」がゲゲゲの水木しげるの手によって漫画化されたものが『児泣き爺(こなきじじい)』であり、今では「山城町の児泣き爺」は、漫画家水木しげると作家の京極夏彦という日本を代表する妖怪関係者の公認妖怪である。この駅長は一見パッチもん(写真参照)のようだが(笑)、実は正統派の妖怪なのである。
ひと昔前は「おおぼけ〜」とお笑いの駅だったのに、今ではパワースポットの仲間入りである。世の移り変わりはかくも激しい。
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「ホーム側から見た駅舎 入り口で駅長が直立不動で勤務している。」
ホーム側から見た駅舎 入り口で駅長が直立不動で勤務している。
「ホームにはミニ遊歩道があり吉野川が眺められる。正面は投身名所の自動車橋。」
ホームにはミニ遊歩道があり吉野川が眺められる。正面は投身名所の自動車橋。
「数年前に駅舎の建てつけのすきまに種が落ち、そこから発芽して根強く育つ「ど根性もみじ」。こんなでも晩秋には根性で紅葉する。」
数年前に駅舎の建てつけのすきまに種が落ち、そこから発芽して根強く育つ「ど根性もみじ」。こんなでも晩秋には根性で紅葉する。
「駅長と助役の正式な委嘱状。横には助役の当番表。」
駅長と助役の正式な委嘱状。横には助役の当番表。
「ホーム側の入り口で観光客を出迎える妖怪「児啼爺」駅長。もともと妖怪だが、JR帽を被せるとそれ以上に怪しい(笑)。」
ホーム側の入り口で観光客を出迎える妖怪「児啼爺」駅長。もともと妖怪だが、JR帽を被せるとそれ以上に怪しい(笑)。
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