「君は花やしきのジェットコースターを知っているか?」
土佐新荘駅は須崎市街の西端に位置する。ここから須崎駅まで須崎の旧市内を土讃線が駆け抜けることとなる。おそらく四国の鉄道沿線で下町の家々が立ち並ぶ真ん中を縫うように走る列車はここだけかもしれない。電車の車窓のすぐ横は、物干し竿にパジャマが干されているし、サッシの向こうはちゃぶ台である。 東京浅草の下町のど真ん中に『浅草花やしき』という長く続く遊園地がある。ここのジェットコースターは規模は小さいものの、周囲の景色が草原や海辺ではなく「近所の家」であることで有名。須崎市のこの区間はこのジェットコースターを髣髴とさせる。生活感たっぷりのおよそプライバシーという言葉からは14万8千光年かなたの車窓である(笑)。
思えば昭和時代の都会の国電や私鉄はこういう感じであった。今では沿線はビルの立ち並ぶオフィス街然となってしまったが、昔の下町の人たちは始発電車の音で目覚め終電が終わると寝ていたのである。一瞬ではあるが昭和の都会のノスタルジーに触れることの出来る区間である。
|
「須崎市の町外れの土佐新荘駅。」
須崎市の町外れの土佐新荘駅。
「駅前の休憩所」
駅前の休憩所
|