「明治時代の跨線橋と旧市内に今も残る湧水」
JR徳島線は、紀伊水道に面する東阿波の県庁所在地・徳島市と、阿讃山脈(讃岐山脈を徳島人はこう呼ぶ 笑)と四国山地との狭間にある西阿波の中心地・池田町とを結ぶローカル線である。中流から河口付近までの吉野川に沿って走っていることから「よしの川ブルーライン」と名づけられているが、主に街中を通っているので肝心の吉野川はあんまり見えない(笑)。
蔵本駅は徳島駅から二つ目の徳島市の市街地にある。戦前は陸軍徳島基地の最寄り駅としてかなり賑わっていたらしい。現在でも徳島大学や大学病院、徳島中央病院の乗降駅として多くの人に利用されている。
この駅の見ものはなんといっても年月を数えた跨線橋である。旧陸軍使用の異様に長いホームに建てられたいかにも年代物の跨線橋は、未だに板張りの階段であり昇り口の階段には「明治45年7月」「鉄道省(国鉄の前身)」の刻印まで残っている。近代産業遺産のようなこの橋は、未だ普通に利用に供され、学校返りの中高生が日常の風景の中で駆け昇り駆け下降りていた。まだ歴史の延長線上にある橋である。
この蔵本地区は古来から良質な水どころであり、駅からすぐそこには徳島市の地酒『御殿桜』の酒蔵もありここで百年近くも醸造している。駅前にも蔵清水の取水施設があり、近所のおじさんおばさんが家の勝手口から突っ掛け履きでペットボトルを持ち出してきて水を汲んでいた。
徳島市内にあって生活の中に「古きよき昔」をそのまま残す駅である。
|
「徳島駅へあと二駅の場所。普段は通勤客で混雑する駅舎である。」
徳島駅へあと二駅の場所。普段は通勤客で混雑する駅舎である。
「未だに普通に利用されている100年越えの跨線橋。」
未だに普通に利用されている100年越えの跨線橋。
「明治45年に打たれた柱。裏には『鉄道省』の刻印が。」
明治45年に打たれた柱。裏には『鉄道省』の刻印が。
「どこかの旧校舎のような木製の階段。」
どこかの旧校舎のような木製の階段。
「今でも近所の住民に利用されている蔵清水 裏には酒蔵もある。」
今でも近所の住民に利用されている蔵清水 裏には酒蔵もある。
|