「豪雨地区」
駅のある繁藤駅は50年前までは天坪(あまつぼ)駅という名であった。天坪は雨坪とも呼ばれ、その名のごとく四国屈指の多雨地帯である。この駅自身、JR四国の中で最高標高(347m)ともちろん最大降水量の駅である。
雨が多すぎるので駅舎入り口のサッシ戸は常時閉められている。またホーム上の待合室にはポスターも掲示物も一切貼られていない。こちらも雨ですぐに駄目になるのであろう。このあたりの雨は雨粒の大きさからして違う。ザーザー降りという雨ではなくパチンコ球台の雨粒が身体をたたくのである。洗車機の中にいるようなものであるから、駅舎もホームの待合場もピカピカである。
1972年にこのあたりを1時間雨量100ミリ・24時間雨量742ミリという大雨が襲った。駅前の山が崩れて土石流となり駅と機関車1両、客車1両を飲み込み 地域全体で最終的に犠牲者60名という大災害となった。後世にいう『繁藤災害』である。中でも機関車は線路脇を流れる穴内川の対岸まで飛ばされ、今なお掘り出すことがかなわないままである。
痛ましい災害であるが、このような過酷な自然環境の中でも、今なお鉄道は一日も休まずに安全に走り続けているのである。保線区の方々、運行関係者の方々の日々の努力に敬意を表する次第である。
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「山中の駅にしては立派なつくり」
山中の駅にしては立派なつくり
「普段から出入り口は閉められている」
普段から出入り口は閉められている
「昔は「天坪」=「雨坪」という駅名だった」
昔は「天坪」=「雨坪」という駅名だった
「ホームの待合所にはポスター類は貼られていない。どうせすぐびしょぬれになるので無駄なのであろう。」
ホームの待合所にはポスター類は貼られていない。どうせすぐびしょぬれになるので無駄なのであろう。
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