「SL時代の遺産」
予讃線はここで終点である。高知県の窪川までの予土線は一つ前の北宇和島駅で分岐するので事実上の最果ての駅である。愛媛県の南予地方や高知県の幡多地方をまとめた四国南西部で最大の交通の要となる駅であり、高松駅と徳島駅にあるJRグループのホテルクレメントがそのまま駅ビルとなってそびえていることからもその重要性がわかろうというものである。
四国全土に鉄道が敷かれていったころからの拠点駅であり、同時に最果ての終点駅であったことで、ここだけに残る産業遺産も多い。最も有名であるのは駅構内に現存する蒸気機関車の扇形庫(せんけいこ)と転車台である。現在のディーゼル車や電車と異なり、蒸気機関車には前後ろがあるので特に終点駅では転車台によって方向を変えなければない。この転車台を扇の要として扇の骨状に複数の線路を配しその先に扇形に格納庫を造ったのが扇形庫である。同様のものは四国ではここだけであり、日本全国にも数えるしか残っていない希少な産業遺産である。
もちろんこの種の物は鉄ちゃんの大好物でもあり(笑)、宇和島駅には観光客のみならずカメラを持ったマニアが多く集まるのである。なおこの施設は今でも現役のトロッコ列車の保管庫として運用されているので、安全管理上、無断で立ち入ることは禁止である。見学するにはあらかじめ駅への見学申し込みをすること。
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「南予随一の規模を誇るJRホテルクレメント宇和島の一階部分が駅舎である。」
南予随一の規模を誇るJRホテルクレメント宇和島の一階部分が駅舎である。
「駅構内にある蒸気機関車の扇形機関庫。」
駅構内にある蒸気機関車の扇形機関庫。
「機関庫から延びる転車台」
機関庫から延びる転車台
「機関庫で保管される予土線の四万十トロッコ列車」
機関庫で保管される予土線の四万十トロッコ列車
「蒸気機関車のかわりに申し訳なさそうにミニSLが格納されてあった(笑)。しかしこれでも立派に蒸気機関で実走する。」
蒸気機関車のかわりに申し訳なさそうにミニSLが格納されてあった(笑)。しかしこれでも立派に蒸気機関で実走する。
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