「思い出の駅のミステリーライン」
予讃線長浜経由の有名駅といえば線路と国道と海とが並ぶ「下灘駅」(四国酒蔵88箇所52番札所近くの穴場で取材すみ)であるが、近年あまりにも有名になりすぎたのでへそ曲がりな私は、あえてこちらを選ばせてもらった。写真のとおり夕陽の映える名もなき漁村の駅であるが、なによりもその自然体が心地よい。地味なままに訪れる人の思い出に残る駅である。 しかし、この駅には隠された秘密がある。ホーム中ほどを走る白い線。古い駅の中でなぜかこの白線だけが白々しく新しい。まさにミステリーであるが、実はこの線はこの駅が跨いでいる愛媛県伊予市と愛媛県大洲市との境界線らしいのである・・・といってもこの線のホームの真下に両市の境界となっている小川が流れているだけの話なんでであるが(笑)。
本当のミステリーはこの無人駅にこの線がある日突然に唐突に引かれたという謎の理由である。まさしく都市伝説ならぬJR田舎伝説。ミステリーサークルならぬミステリーラインである。あちらこちらで聞き取り調査をしてみてわかったことを記す。この路線には夏の週末ともなると「ビールトロッコ列車」と呼ばれる夕陽を眺めるビアガーデン列車が走る。ある日、その同じ列車に時の伊予市長と大洲市長とがたまたま乗り合わせることになるという情報がJRに入ったのである。機を見るに敏な同社の偉い半井専務さんが境界線上での両市長の握手を思いつき、当日に慌てて書いたのがこの白線なのである(笑)。マスコミの写真撮影と報道も無事終わりビールトロッコにも良いPRとなった訳であるが、肝心の白線はそのままそこにとり残され、由来の説明看板を立てられることも無くそのまま忘れられてしまった・・・というのがことの真相である。 とどのつまり、この白線は思い出の駅に思いつきで引かれたミステリーラインなのである。(笑) なお、後日談であるが、このリーク記事により、この白線は「魔のH(半井)ライン」として一部の鉄道マニアの間で勝手に呼称されているということである。
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「ホームにひさしだけの極めて地味な駅である。」
ホームにひさしだけの極めて地味な駅である。
「ホームからは国道と伊予灘が見える」
ホームからは国道と伊予灘が見える
「これが問題の「白線」。地元の方の話によると、ある日突然に引かれたらしい。いったい誰が何のために?」
これが問題の「白線」。地元の方の話によると、ある日突然に引かれたらしい。いったい誰が何のために?
「この小川が市の境目であり、この上がホームで白線の引かれた位置である。」
この小川が市の境目であり、この上がホームで白線の引かれた位置である。
「ホームからの夕陽。まさに夕焼け小焼けラインである。」
ホームからの夕陽。まさに夕焼け小焼けラインである。
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